原口元気も流浪の民に?くすぶり続けるヘルタのベルリン移転問題 (2ページ目)

  • 鈴木智貴●文 text by Suzuki Toshiki
  • photo by Getty Images

 しかし、この案に猛反発したのが、スタジアムの所有者であり、ヘルタにこれを貸し出していたベルリン市の市議会だ。そもそもオリンピア・シュタディオンで1年間に行なわれるイベントは数えるほどしかなく、ヘルタがそこを去れば、年間4億円近い賃貸収入がなくなってしまう。

 ビルト紙によると、同市議会は突然の「裏切り」に怒りを隠さず、現行の契約が切れる2017年夏以降について、これまでの倍の賃貸料を課し、契約期間は向こう15年という、まるで脅迫めいた提案をヘルタに伝えたという(結局、この報道があった約2週間後の昨年5月下旬、これまでの1.5倍近い年間約6億円の賃貸料、期間は2025年夏までの新契約が結ばれた)。

 ひとまず、あと8年半はオリンピア・シュタディオンに残ることが決定したヘルタだが、その一方で自前のスタジアム所有という夢に向かって、着々と準備も進めている。当初クラブ側はベルリン市内に残ることを第一希望としていたが、本拠地移転に反対を表明している市議会の協力は得られず、「用地をどうするか」という問題にさっそく直面してしまった。するとヘルタは、昨年11月時点で内々に3つの候補地を選定。ドライリンデン、シュターンスドルフ、オラニエンブルクという、いずれもベルリン市を囲むブランデンブルク州の町だった。 

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