スペインの怪。ビジャレアル監督はなぜ「八百長」でクビになったのか (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Getty Images

 ヒホンの代わりに降格させられる形になったラージョ・バジェカーノの関係者は激怒。ラウル・マルティン・プレッサ会長に至っては、怒りが収まらない様子で辛辣な表現をしている。

「まるでルフトハンザが起こした事故。狂ったパイロットが、意図的に飛行機を墜落させたようなものだろう」

 ルフトハンザ傘下のジャーマンウイングスの旅客機墜落事故を引用したのはかなり品に欠け、名誉毀損にも当たりそうなものだが、怒りの心情は伝わってくる。降格という事実は財政的危機を意味し、それはクラブで働くスタッフをはじめ、多くの人々の人生を左右してしまうのだ。

 ビジャレアルのフェルナンド・ロイグ会長も事態を重く見たのか、マルセリーノが功労者であるにもかかわらず、今シーズン開幕前にクビを切ってしまった。中心選手のマテオ・ムサッキオとの衝突が解任の理由とも語られているが、シーズン最後に起きた"いざこざ"がその理由であることは明白だろう。

 一連の騒動に対し、マルセリーノも緊急会見を開き、「私は試合を歪曲させるようなことはなにひとつしていない。捜査が入っても協力する。何ら隠すものはない」と猛烈に反論した。

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