「プリマドンナはいらない」。名将・コンテが理想とするチームの作り方 (5ページ目)

  • クリスティアーノ・ルイウ●取材・文 text by Cristiano Ruiu 宮崎隆司●翻訳 translation by Miyazaki Takashi photo by Getty Images

――ドイツは彼らがベースとするシステムを変え、イタリアに合わせてきました。一方でスペイン、ベルギーは違っていた。

 ヨアヒム・レーブ監督は実に優れた戦術家だ。そして、あれだけのメンバーを揃えながらもドイツは決して我々を見下すような真似はしなかった。むしろ最大限のリスペクトを持ってイタリア戦に臨んできている。おそらく、ここが彼らの強さの秘訣だろう。

 だが、あの試合でドイツは120分を費やしても我々を倒すことはできなかった。思うに、イタリア戦を終えて、彼らは相当に疲弊していたはずだ。だからこそ直後のフランス戦で、らしくない脆(もろ)さを露呈したということなのだろう。

――ドイツ戦後、会見で監督はこうもおっしゃっている。厳しい批判を繰り返してきたイタリアの記者たちに対し、感謝の言葉を述べたうえで「私たちは共に戦ってきた」と。監督・選手とメディア。一般論として、この関係のあり方を監督はどう考えるのでしょうか。

 大切なのは常に互いがプロフェッショナルとしての誇りを忘れることなく、真摯に向き合うことだと思う。先入観や根拠なき批判はもちろん論外だが、建設的な意見や確かな根拠に基づく批判ならば我々は常に受け入れる。むしろ、そうした前向きな議論は絶対に欠かせない。

 事実、大会前の我々に対する容赦ない批判は、あくまでも結果論だが、モチベーションの源泉になっていた。あれだけ散々叩かれれば、誰だって絶対に見返してやろうと心に誓うものだ(笑)。

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