予想外の展開。イタリアが強かったのか、スペインがひどすぎたのか (4ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki photo by Nakashima Daisuke

 後半に入って攻勢を強めたとはいえ、パスの回り方にはスムーズさが欠け、スペインが保持するボールは(MFアンドレス・イニエスタが持ったときを除き)、常にノッキングしながら動いているかのようだった。相手をゴール前にくぎ付けにし、蹂躙するような怒涛の攻撃は見られなかった。

 また、あらためて気づかされるのは、ボールポゼッションと守備とは表裏一体なのだということである。

 常にいい距離感でパスを回せていれば、仮にボールを奪われても、すぐに囲い込んで奪い返すことができる。ところが、この試合のスペインは全体が間延びして、選手それぞれの距離が遠くなった状態でパスを回そうとするため、ボールを失った瞬間、ディフェンスは穴だらけ。あちらこちらに生まれたスペースへ簡単にパスを通された。後手を踏んだ状態でボールを追いかけても、決してテクニシャン揃いとは言えないイタリアにさえ、いなされてしまうばかりだった。

 攻撃がうまくいかないのなら、まずは守備を固めて、とも思うが、残念ながらスペインのサッカーは、受けに回った守備から徐々にリズムを取り戻していくようには、メカニズムができていない。ボールを保持して主導権を握ってこそ、同時に守備の強さも増す。

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