ノスタルジックな展開。英国勢同士の無骨な戦いはウェールズに軍配 (4ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki photo by Hara Etsuo

 試合前、パルク・デ・プランスへ向かう道すがら、「10代のころには、ジョージ・ベスト()の試合を何度も見たよ」と懐かしそうに話す北アイルランドの男性サポーターに出会った。彼は自分たちのチームを決して強いとは言わなかったが、その魅力について熱っぽく語ってくれた。
※1960年代~70年代にマンチェスター・ユナイテッドで活躍した伝説的名選手

 「今のチームには(ジョージ・ベストのような)スーパースターはいない。だが、全員で戦える。強固な守備が今のチームの一番の武器だね」

 最後の最後、北アイルランドの堅い守備は無情にもオウンゴールという形で決壊し、そのわずか1点が届かず、フランスを去ることになった。

 それでも、きっと北アイルランドの選手も、スタッフも、そしてサポーターも満足感を胸に帰路についたに違いない。

 試合終了からすでに30分以上が経ったころ、一度ロッカーに引き上げた北アイルランドの選手たちが再び、ピッチに戻ると、いまだ余韻覚めやらぬサポーター席の前に集まった。サポーターたちとともに歌い、踊り、ささやかな“祝宴”を開くためだった。

 この試合は今大会、パリで行なわれるラストゲームということもあり、自分たちの務めを果たしたボランティアスタッフも仲間に加わり、最後の祝宴はことのほか盛り上がった。

 ユーロが今大会から24カ国に増えたことには賛否両論ある。世界大会であるワールドカップでさえ32カ国出場なのだから、ヨーロッパだけで24カ国は多すぎると考えるのが妥当だ。

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