次戦は難敵。ドイツの命運を握るのは「キレッキレ」のドラクスラー

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Hara Masashi

ドイツの攻撃を活性化させたドラクスラー(左)とマリオ・ゴメスドイツの攻撃を活性化させたドラクスラー(左)とマリオ・ゴメス 3対0。ドイツがよすぎたのか。スロバキアがダメすぎたのか。難しい問題だ。ドイツはこの結果、準々決勝でスペイン対イタリアの勝者と対戦することになった。大勝の後に待ち受けるのは苦戦。これがサッカーにありがちな傾向だとすれば、ドイツ人でさえスロバキアの無抵抗ぶりを嘆きたくなるだろう。

 スコアは3−0だが、両者の差はそれ以上。実力差に輪をかけたのが、スロバキアの守備的な姿勢だ。布陣こそ4−3−3を敷くが、ボールを前で奪おうとする精神が低い。それでいて、アイルランドやウェールズに代表される、恥も外聞もなく放り込む作戦をとるわけでもない。

 低い位置で奪ってそこからパスで組み立てていくのだが、プレッシャーを浴びるうちに奪われてしまう。奪われ方が悪いので、その瞬間からピンチが始まる。ハーフコートゲーム同然。ここまで差のある試合を見るのは今大会では初めてだ。

 もちろん、ドイツがよかったとの見方もできる。ピッチを広く使い、ボールを散らしながら運ぶので、球回しに危なげがない。奪われにくいので、支配率が上がる。長短のバランスもいい。何事にもやり過ぎ感がないのだ。

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