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16強最後のイスはアイルランド。イタリアの「主力温存」は吉と出るか (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki 赤木真二●写真 photo by Akagi Shinji

 アイルランドのサッカーは分かりやすい。ズバリ、放り込みだ。センタリングの角度がつく所にどうにかボールを運び、そこからドスンと入れ込む。崩せてはいないので、運が必要になる。論理性に乏しい、偶然性に懸けるサッカーであり、相手のミスを待つサッカーだ。

 5バックで後ろを固めるイタリアDF陣のその前で、アイルランドはボールを回すものの、決定的なチャンスどころか惜しいチャンスさえつかめない。逆に、後半32分には交代で入ったロレンツォ・インシーニェに、ポスト直撃弾を浴びる始末。イタリアの逃げ切り濃厚かに思えたが、サッカーの神は、まだまだ試合を楽しませてくれた。

 84分、イタリアの主将、レオナルド・ボヌッチが、こともあろうにゴール前で、ウェズリー・フーラハンにプレゼントパスを送った。ところがこの絶対的チャンスに、シュートは当たらずで、アイルランドサポーターの嘆きがスタンドにこだました。まさかその直後、いましがたシュートを外したフーラハンが、決勝ゴールのアシスト役になると思った人はいなかったはずだ。

 その右からのセンタリングは、ゴール前に走り込んだロバート・ブレイディの頭にどんぴしゃのタイミングでヒット。背後にアイルランドサポーターが陣取るゴールに、勢いよく吸い込まれていった。

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