16強最後のイスはアイルランド。イタリアの「主力温存」は吉と出るか (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki 赤木真二●写真 photo by Akagi Shinji

 スペインは、グループリーグの最終戦対クロアチア戦を、1、2戦とほぼ同じメンバーで戦い、そして敗れた。試合前に1位抜けを確定させていたわけではないが、もう少しメンバーをいじれる余裕があったにもかかわらず、それをしなかった。

 イタリアはメンバーを大きく変えてきた。その結果、立ち上がりからアイルランドにペースを握られることになった。これまでとは異なる試合を強いられた。それを覚悟の上で臨んだわけだが、サポーターの数や熱気の違いも、影響していたようだ。

 アイルランドはその点でイタリアに完勝していた。リールのスタジアムは開閉式ドーム。この日は屋根が閉じていて、アイルランドサポーターの大声援が反響しやすい状態だった。止むことのない応援が選手の背中を押していることは明白で、イタリア選手を慌てさせる原因にもなっていた。

 前半終了間際には、シュートモーションに入ったジェームズ・マクリーンを、フェデリコ・ベルナルデスキが倒したかに見えたが、判定はノーファウル。スタジアムはブーイングの嵐に包まれた。

 とはいえ、押され気味の0-0は、イタリア人が得意にする形だ。相手ボールをストレスなく黙々と、むしろ喜々としながら追いかける。アイルランドペースに見える試合は、見方を変えればイタリアペースのようにも見えた

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