ファン・ハールの革新的戦術も古くなり、成功は世界中にコピーされた
【サイモン・クーパーのフットボール・オンライン】名将の新旧交代(後編)
来季はマンチェスター・シティの指揮を執るグアルディオラ(photo by Getty Images) 改革派の監督が若くして成功を収めると、ふつうはビッグクラブから誘いが来る。そのころには、改革心が薄れていることも少なくない。人はパイオニアに2度なれるものではない。3日おきにやってくる試合に勝たないといけないなら、なおさらのことだ。
フットボール界のトップの生活は忙しい。若いころの業績も、時とともに色あせていく。忠実なスタッフたちも、しだいにキレがなくなってくる。その一方で他の監督たちはアイデアを盗もうとするし、さらに若い改革者がさらに次の改革に挑んでくる。
そもそも改革派の監督は、アイデアをすぐに使い果たしてしまうものだ。ジョゼップ・グアルディオラは、マルティ・パラルナウの著書『ペップ・グアルディオラ──キミにすべてを語ろう』(邦訳・東邦出版)の中で、2012年にバルセロナの監督を辞めたときには「疲れ果てて、戦術面の新しいアイデアなどまったくなかった。それがクラブを離れた理由だ」と告白している。
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