バルサ、アトレティコに完敗。CL連覇を逃したメッシの「王様プレー」 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki  中島大介●撮影 photo by Nakashima Daisuke

 今回も学習効果を発揮することができなかった。これまで失敗の原因には、不運もあったが、それ以上に見え隠れしたのが慢心だ。謙虚さの欠如。昨シーズンの終盤と、いまと何が違うか。比較してみると、それは浮き彫りになる。

 左からネイマール、ルイス・スアレス、リオネル・メッシと並ぶバルサ自慢の3FWが形成されたのは、スアレスがチームに加わった昨シーズン。正確にはその途中になるが、それ以前は、左からネイマール、メッシ、ペドロの3人で形成されていた。ウイングタイプのペドロに代わって、ストライカータイプのスアレスが加わったために、メッシは真ん中から右に移動することになった。

 だが、メッシは簡単に従おうとしなかった。主役の気分が抜けないのか、気がつけば、真ん中に入り込もうとした。すると、新加入のスアレスはメッシに気を遣ったのか、すっと右に開いた。右のインサイドハーフ、イヴァン・ラキティッチも、メッシ不在で空白になった右のポジションをしきりに埋めようとした。真ん中から右に追い出される格好になったメッシの気持ちを気遣う美しい光景が、ピッチの各所に描かれることになった。

 メッシもメッシで、それまでサボっていたディフェンスに参加するなど、周囲の気遣いに応えるプレーを見せていた。

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