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リバプール戦の香川真司は、恩師クロップの前で無念のベンチ (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko 渡辺航滋●写真 photo by Watanabe Koji

 クロップは香川がドルトムントに加入した当時の監督である。当時、評価が低かったというより、どこの誰なのかさえ理解されていなかったような存在の香川を信頼し、重用し、大切に育ててくれた指揮官だ。そんなクロップに、プレーを見せることはできなかった。試合が終わると、下を向いている香川に対し、おどけたように話しかけるクロップの姿が見られた。「落ち込むなよ」とでも言っていたのだろうか。

 試合は1-1で決着した。いつも通り、4−3−3から状況次第で3−4−3にシフトしながら主導権を握りたいドルトムント。だが、例によって相手に体力がある試合序盤は、どうしてもプレスの網にかかり、前線で思ったようにボールがつながらない。つまり後半勝負になる。

 アウェーのリバプールはそれほど前から行くというスタイルではないが、強固な最終ラインを軸に、手慣れたカウンターでチャンスを狙った。前半36分にはディボック・オリジのゴールでリバプールが先制。アウェーゴールを考えるとドルトムントには痛すぎる失点だった。ポゼッションはドルトムントが上回っても、試合を優位に進めていたのはリバプールだった。

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