クライフは言った。「5対2の練習にサッカーのすべてが詰まっている」
【サイモン・クーパーのフットボール・オンライン】ヨハン・クライフの時代(前編)
74年W杯でオランダは準優勝。クライフの名は世界にとどろいた photo by Getty Images 1981年、ヨハン・クライフがアヤックスでプレーするためにアムステルダムに帰ってきたとき、僕は12歳でオランダに住んでいた。僕の10代の日々は、クライフがフットボールについて語ることを吸収するのに費やされた。それはちょうど、アインシュタインの言葉を数日おきに新聞で読むようなものだった。
クライフはどんなレベルのフットボールにも当てはまることを言った。横パスは出すな。もし相手にカットされたら、パスを出した選手と受けるはずだった選手のふたりが置き去りにされる。パスはチームメイトの足元ではなく、前に出せ。パスを受けるために走らなくてはならないから、ゲームのスピードが上がる。プレーがうまくいかなかったら、シンプルなプレーをしろ。たとえば、いちばん近くにいるチームメイトに何度かパスを出せ。そうすれば、しっかりプレーしているという感触が得られ、自信を取り戻せる......。
デニス・ベルカンプからルイス・ファン・ハールまで(ファン・ハールは絶対に認めないだろうが)、1970年代から80年代のオランダの選手とコーチはひとり残らずクライフのフットボールを学んでいた。クライフはオランダ・フットボールの父だ。彼はすべてをつくり上げたが、そこにはいいものも悪いものもあった。
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