2016.03.31

シャビ・アロンソ、アルテタ…名選手を輩出するバスク「虎の穴」

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

35歳でスペイン代表にも選ばれたアリツ・アドゥリス(アスレティック・ビルバオ) 3月10日、ヨーロッパリーグのベスト8進出をかけたファーストレグ、アスレティック・ビルバオはバレンシアを本拠地サン・マメスに迎えていた。終日、豪雨が降り、メインスタンド側のピッチに水たまりができるほどだった。ボールの転がりが悪い。

「アドゥリス、アドゥリス!」

 試合前、サン・マメスのファンはどしゃ降りにも負けず、チームのエースの名前を連呼していた。腹の底から出た声は、腹の底に響く。

 ただ、当のアリツ・アドゥリスはどこか達観した様子だった。その場にしゃがみ込み、ゆっくりと靴紐を結ぶ。試合前、仲間たちが円陣を作ろうとしていたが、それをわざと待たせるように慌てない。

 肝が据わっているのがエースということか。

 ヨーロッパリーグで得点ランキングトップの7得点を記録しているアドゥリスのプレーの質は高い。この夜も、欧州トップレベルにあるバレンシアのセンターバックのマークを手玉にとるように外し、ポストワークでは起点になった。サイドに流れてはチャンスメイクに貢献し、驚異的な跳躍力でヘディングに競り勝ち、ゴール前でこともなげにマーカーと入れ替わるスキルは瞠目(どうもく)に値した。