2016.03.30

バルセロナをしのぐバスクの選手製造工場、ソシエダのスビエタとは?

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

スペインの次代を担うMFミケル・オヤルサバル(レアル・ソシエダ)「今日のデザートは?」「黄桃にアロス・コン・レチェだよ」

 食堂では選手と料理長の間で気軽な会話が交わされていた。アロス・コン・レチェはお米を牛乳で調理し、シナモンをまぶしたスペインのデザート。下部組織の指導者やスタッフも含め、クラブに関わる多くの人がその食堂で食事をとる。そのため、代わる代わる人が入っては出ていった。コーヒーマシンの近くでは、ミルクを蒸気で温めながら、コーチとスカウトが何かひそひそと話していた。

 スペインの北、レアル・ソシエダの総合練習場、「スビエタ」。トップチームの練習場であるが、「選手製造工場」としても知られる。レアル・ソシエダはトップチームの所属選手の半数以上がスビエタ出身者。この比率はバルサの育成組織「マシア」をも凌ぐ。さらにスビエタ出身者はシャビ・アロンソ(バイエルン・ミュンヘン)、アントワーヌ・グリーズマン(アトレティコ・マドリード)などがトップレベルで活躍している。

 では、なぜスビエタから優れた選手が生まれるのか?

「Actitud」

 スペイン語で「振る舞い」という意味の言葉こそが、スビエタ出身選手を形容している。これはバスク人選手全体にも当てはまるだろう。一人の男として、誇り高い行動ができるか。仲間を大事にすることができるか。意外かもしれないが、道徳的な部分が求められる。