元レイソル鈴木大輔が語る、スペインデビューまでの「激動の90日間」
鈴木大輔のスペイン挑戦(前編)
3月20日、公式戦デビューを果たしたヒムナスティック・タラゴナの鈴木大輔 3月20日、ヒムナスティック・タラゴナの日本人DF、鈴木大輔はスペインデビューを飾っている。サン・マメスでのビルバオ・アスレティック戦、右サイドバックの出場停止によって、先発に抜擢された。試合は0-4と完勝し、チームは3位に浮上。鈴木は1部昇格という目標に向け、上々の一歩目を踏み出した(1、2位が自動昇格、3~6位がプレーオフ)。
「気負わず、自分は自分だと言い聞かせ、自分以上のことを求めずにできました。やっぱり公式戦の雰囲気は最高ですよ!」
鈴木はデビュー戦の感慨を洩らす。あくまでセンターバックとして期待されているものの、右SBでも仕事をできるのは彼の実力だろう。海外では、降って湧いたチャンスを次につなげるしかない。そして、その危うさと対峙することは彼の生き方そのものとも言えるのだった。
鈴木を取材してきた筆者が、人生の賭けに出た90日間を追跡した――。
スペイン、タラゴナはバルセロナから南西に電車で約1時間の場所にある。地中海に面した、ローマ帝国の古い都。栄光の遺構と現代の街並みが融合し、風光明媚で知られる。
しかしあいにくその日は、小雨が降り続いていた。
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プロフィール
小宮良之 (こみや・よしゆき)
1972年横浜出身。スポーツライター。 2001年から2006年までバルセロナで活動後、日本に拠点を移す。人物インタビューに定評があり、主な著書に「RUN」(ダイヤモンド社)、「アンチ・ドロップアウト~簡単に死なない男たちの物語」(集英社)
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