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レアルの諸問題をすべてチャラに。英雄ジダンを監督に据えた狙い (2ページ目)

  • 山本孔一●文 text by Yamamoto Koichi photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 ともかく、ジダンがレアル・マドリードの監督に就任した。トップチーム指揮の経験不足はあるものの、ジダンにはラファ・ベニテスが持ち合わせていなかったカリスマ性と、レアル・マドリード内での絶対的な愛情、信頼がある。

 現役時代のチームのアイドルが監督に座ることのメリットは、アトレティコ・マドリードのディエゴ・シメオネが証明している。このアルゼンチン人監督が就任するまで、アトレティコもレアル・マドリード同様に毎年のように監督の首をすげ替えるチームだった。

 チームの元アイドルが監督に就任することで、メディアやサポーターが監督側の立場に立つケースは多い。成績が悪ければ選手側にも責任追及の声が向かうことから、選手たちの士気を高める上でも大きな意味がある。さらにベニテスが抱えていたような、「イスコを起用すればハメスが、ハメスを起用すればイスコが不満を持っている」というような、露骨な選手起用に対する批判も少なくなるというメリットがある。

 外様ながらもアンチェロッティ元監督が好意的に見られているのは、悲願のチャンピオンズリーグ(CL)10冠を達成しただけでなく、ロッカールーム、そしてメディアを掌握する術を知っていたからだ。そのアドバンテージをすでに手にしていることは、ジダンにとって、トップレベルの経験のなさをカバーする意味からも大きい。

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