リバープレートを圧倒。理想の王者バルサから何を学べるか (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 バルサは、過去10シーズンで4度チャンピオンズリーグを制している。文字通り世界ナンバーワンクラブだ。だが、それ以前、つまり05~06シーズンに2度目の欧州一に輝くまで14シーズン、勝てない時を過ごしている。勝利と娯楽性をクルマの両輪のような関係で目指すあまり、肝心なところで相手にうまくはめられ涙をのんできた。よいサッカーを追求しながら、長い間、結果を残すことができなかった。それでもよいサッカーの追求を断念しなかった。

 あえてそうした時代を過ごしてきたからこそ、いまがあるのだ。勝利と娯楽性をクルマの両輪のような関係で追求する、いわば綺麗ごとをこの10年間、見事なまでに実現してきた。ただの王者ではない。王者の理想型を見る気がする。これ以上、格好のよい王者はいない。

 そのバルサがいまのサッカー界を支配していることを、この日、再確認した。それが今回のクラブW杯の意義になる。

 ところが、日本のサッカー界には、相変わらずそれとは真反対の価値観が、大手をふるって歩いている。「いいサッカーと勝つサッカーは違いますからね」。バルサをさんざん褒めた人でも、別の試合を前にすると平気でそうした台詞を吐く。本音はどちらなのだろうか。いったい彼らは、バルサから何を学び、何に感心しているのだろうか。メッシ、スアレス、ネイマール、イニエスタ……の個人技なのか。

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