強いバルサの本質。3ゴールより凄みを感じたスアレス「鬼の追走」 (4ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

「中田英寿のスルーパスにFWが反応できませんでした」は、ひと頃、日本で定番となった実況アナの言い回しだ。パスの出し手こそが主役。日本にはびこる中盤至上主義を助長することになった考え方だが、これがいまなお活き続けているとすれば、この日、バルサが見せつけたサッカーは異文化そのものだ。日本人はいま、カルチャーショックを浴びた状態でなければならない。

 この試合、スアレスが活躍することは、試合前から分かりきっていた。メッシ、ネイマールが不在となれば、見出し候補は消去法でスアレス。スアレスのゴールで騒ぐ姿はまさに予定調和だ。

 あらかじめ定められた画一的な目線に基づき、試合後その通りに騒ぐ姿は、欧州一のクラブから学ぶ姿勢として、あまりにも貧しい。これでは、せっかく浮かび上がった異文化が日本式文化の中に埋没する。カルチャーショックを味わったはずなのに、味わわなかったことと同じ結果になる。バルサがクラブW杯で来日するのは、決勝でサントスを4-0で下した2011年以来。バルサの位置づけは、その時から改訂されないままになってしまう。

 ちなみにルイス・エンリケの口から続いて出たスアレス評は次の通り。

「チームの中で一番最初にディフェンスを仕掛けることが巧い選手」
「攻め方が巧い選手」

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