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117位から8位。ユーロ初出場ウェールズが急成長した理由 (2ページ目)

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke  photo by AFLO

 これまでウェールズは、ずっと日陰を歩いてきた。W杯では、1958年大会から14大会連続で予選落ち。本大会の出場歴のない欧州選手権でも、13大会連続で予選突破を果たせずにいた。

 それでも、扉を開ける寸前まで進んだことはある。2004年の欧州選手権予選では、イタリアとセルビア・モンテネグロと同じ組となったグループ9で、2位に滑り込んでプレーオフに進出。マーク・ヒューズ監督を筆頭に、ライアン・ギグス、ガリー・スピード、ロビー・サベージら実力派を擁して臨んだが、ロシアに0−1で敗れて本大会目前で涙を飲んだ。

 しかも、2011年には当時監督を務めていたスピードが、縊死(いし)しているところを自宅で発見されるという痛ましい事件も起きた。ショックを引きずったのか、2014年のW杯予選では6チーム中5位で惨敗。予選中にクリス・コールマン監督の解任論も浮上し、チームは危機的状況に陥った。

 こうした苦難と悲劇を乗り越え、ギグスやヒューズ、イアン・ラッシュ、スピードら先人たちが果たせなかった夢を成し遂げたのである。そのせいだろう、コールマン監督が、「監督として、選手として、そしてひとりのサポーターとして、この瞬間を待ちわびていた。今の気持ちは言葉にできない。わたしの世代、そして前の世代も、あと少しというところで厳しい経験をしてきたから」と噛みしめるように胸の内を明かしたのが印象的だった。

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