本田圭佑にも影響。イタリア人記者が暴露するミラン補強失敗の舞台裏 (3ページ目)

  • クリスティアーノ・ルイウ●取材・文 text by Cristiano Ruiu 宮崎隆司●翻訳 translation by Miyazaki Takashi

 もちろん、その事実をガッリアーニと側近たちが知らないはずはなく、現に8000万ユーロという巨額の投資は、そのすべてがひとりのある超大物選手の獲得を前提に進められていた。そして、その超大物の獲得は7月の時点ですでに確定していた。8月に入っても、ガッリアーニと側近たちのみならず、オーナーであるベルルスコーニもその超大物の獲得を確信していたのだ。

 だが、8月中旬に状況は一変した。ミランの親会社「フィニンベスト」が、ミスター・ビーからの4億8000万ユーロの行方が定かでないことなどを理由に、契約の詳細(年俸1500万ユーロの3年契約)まで確定していた超大物獲得に「待った」をかけたのだ。

 今夏のメルカート(移籍市場)で「フィニンベスト」はガッリアーニに補強を白紙委任しておきながら、である。昨シーズンも再三述べてきた「現ミラン内部、フロント体制の混乱・不協和音」を象徴する出来事といえる。

 獲得が確定していた超大物とは、ズラタン・イブラヒモビッチ(パリSG)だ。セリエAの勢力図を劇的に変えることのできる選手であり、元ユベントスGMのルチアーノ・モッジが「たったひとりで勝ち点40に値する」とまで言ったFWである。そのイブラヒモビッチの獲得が、今夏のミランの補強戦略の柱であった。

 強化策の構図はいたってシンプルだ。FWイブラヒモビッチを中心にチームを作る。そして、今夏の移籍市場で新加入した選手たちはもちろん、本田ら現有戦力もイブラヒモビッチに“仕える”ことで活かされ、真価を発揮する。

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