宮市亮が語る、3年ぶりに帰ってきたオランダでの心境 (2ページ目)

  • 中田徹●文 text by Nakata Toru
  • photo by Getty Images

 そしてダービーマッチ当日、トゥウェンテのアルフレッド・スフローダー監督は、期待をかけて宮市を抜擢した。

「スタメンを聞かされたときは、興奮しました」と宮市。しかしこの2年間、ケガに悩まされ、実戦から遠ざかっていた宮市の試合勘は、まだ鈍っていたと言わざるを得ない。

 宮市と対峙したヘラクレスのサイドバック、マイク・テ・ウィーリクの密着マークにあったとはいえ、フリーになっても軸足はぐらつき、自らバランスを崩すシーンが幾度もあった。また、縦にボールを運んで加速しようにもスピードが乗らず、後方からテ・ウィーリクに追いつかれたこともあった。キレで勝負するタイプの宮市は、コンディションが上がらないと、どうしても厳しい。

「自分の得意とする1対1の部分だったり、自分の置きたいところにボールを置けなかったり、自分の想像している身体の動きがうまくいかなった。本当に、『何やっているんだろう......』という感じですけど、終わったことはしょうがないので、次に向けてコンディションをどんどん上げていかないと。今日は60分で足がつって全然走れてなかったので、そういうところもね(改善しないといけない)」

 試合後に話を聞いていると、言葉の端々から危機感が伝わってくる。「自分自身が腹立たしい」と、宮市は自らを叱責し続けていた。

 だからこそ、親友の宇佐美貴史(ガンバ大阪)や高木善朗(清水エスパルス)といった、同い年へのライバル心を封印し、今は自分のことに集中すると語る。

「同世代の活躍は、刺激になります。昔はすごく気にしてプレイしていたときもありました。ただ、気にしたところでどうなるわけでもないと、最近は思えるようになりましたね。自分のことは、自分でやらないと。そうすれば、結果はついてくる。まずは他人を気にすることより、自分のことを気にする時期だと思いますので、頑張ってやっていきたいです」

 9月4日の入団記者会見で、宮市はこうも言っていた。

「苦しい時期は、やっぱり自分(の実力)を疑いがちになりますけど、そういうとき、いかに自分を信じてやっていけるかが大事になってくる。しっかりと自分の足もとを見つめてやっていきたいと思います」

 自分が意図するプレイと、実際のプレイにギャップがあるというのは、サッカー選手にとって相当辛いことだろう。だからこそ、その言葉を常に忘れず、自分を信じて今季に再ブレイクを賭けてほしい。

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