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最優秀選手賞受賞も、メッシの時代は終わったのか (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • Photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

「W杯シフトで力を抜いているのでは?」

 そんな推測も流れていた。

 しかしブラジルW杯のメッシは、バルサにいるとき以上に"パートタイム"のプレイヤーだった。活動量は少なく、守備にはほとんど参加しない。グループリーグ、イラン戦の終了間際の決勝点やナイジェリア戦の2得点のように図抜けた能力を示すこともあったが、どの試合も活躍は散発。準決勝のオランダ戦は中盤でデ・ヨンクのマークを外す素振りも見せず、のろのろとサイドに流れて相手のワイドの選手に容易(たやす)く封じられていた。

 アルゼンチンは大会を戦う中、「メッシのチーム」と言うよりも、「マスチェラーノのチーム」と言うにふさわしくなっていった。

 決勝戦前日には、スペインのマルカ紙が「ロナウジーニョを彷彿とさせる"超絶"技巧のリフティングを見せるメッシ」という記事を掲載していたが、そこには皮肉が込められていた。ロナウジーニョは一時バルサで目覚ましい活躍を見せたが、怠慢なプレイが目立ち始め、その時代は長く続かなかったのである。そもそも、リフティングがうまいことは欧州や南米では評価に値しない。

「(決勝戦の)鍵はメッシが、僕らが期待する一日を迎えるかどうか」とアルゼンチンのMFビリアはメッシを神格化していたが、その"降臨"はなかった。

 ドイツ戦、メッシはチーム最多の4本のシュートを放っている。左サイドの角度のないところからのシュート、中央に切り込んでの左足シュートなど好機を作った。しかし絶頂期のキレはなく、ゴールネットは揺らせていない。終了間際の左足FKも遙かバーの上だった。なによりプレイへの関与が非常に少なく、「ピッチにいたのか」と思うほど運動量は限られていた。

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