最優秀選手賞受賞も、メッシの時代は終わったのか

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • Photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

小宮良之のブラジル蹴球紀行(18)

 7月14日、リオデジャネイロ。リオネル・メッシは、浮かべるべき表情を失っているようだった。ドイツとのW杯決勝、120分を戦って敗れた。試合後は崩れ落ちるように体育座りをしたが、チームメイトに立ち上がるように促された。その後のメッシは、悲しみよりも失望と怒りが入り混ざった顔で、ひたすら授賞式の準備を待った。

決勝の試合終了後、立ちすくもメッシ(右)決勝の試合終了後、立ちすくもメッシ(右) アルゼンチンの英雄はその日、ほとんど何もすることができていない。

「日曜はおまえの試合になるはずだ。きっと2得点するだろう!」

 かつてアルゼンチンで世界王者に輝いたディエゴ・マラドーナは、メッシに激励のメッセージを送っていた。「おまえも俺のようになれるはずだ」と。しかし、その通りにはならなかった。

「メッシのプレイに、以前の明るさが感じられなくなった。どこか悲しげにすら映る。走れなくなったのか、走らなくなったのか。どちらかは判然としないが、ピッチを歩いている姿が目に付く」

 2013~14シーズンのメッシについては、関係者の間でも否定的な指摘が増えていた。

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