残り2試合で閉幕。ブラジルW杯は成功したと言えるのか

  • 中山淳●文 text by Nakayama Atsushi photo by AFLO

 開催準備の遅れに始まり、昨年のコンフェデレーションズカップ以降に国内各地に広がったW杯開催反対デモ、そして今大会の開幕前に続いた交通機関のストライキと、ブラジル・ワールドカップはネガティブなニュースが世界的にクローズアップされた大会でもあった。

 それに加えて日本のメディアから、犯罪件数が日本の約480倍もあるという治安の悪さも大々的に報じられると、開幕当初は実際に日本人サッカーファンやメディア関係者に被害者が続出しているといったニュースも現地から届けられた。

 こうなると、ブラジルは本当にワールドカップを開催運営できるのか、という不安の声が上がるのも無理はなかったと言える。

大きな負債を背負わされることに不満を募らせているブラジル国民大きな負債を背負わされることに不満を募らせているブラジル国民 しかし、いざフタを開けてみれば、おおよそ大会運営に大きな混乱はなかったと見ていいだろう。もちろん日本の感覚で言えば、及第点をあげるのが精いっぱいというところかもしれないが、ブラジル的には十分に合格点。残すところ3位決定戦と決勝戦のみとなったわけだが、ぶっつけ本番のわりには、ここまでは良くやっているという印象だ。

 心配されたデモやストライキといった抗議活動も、開幕後は減少した。これについては、開幕直前までブラジル政府が各団体と折衝に折衝を重ねたことが奏功した模様で、完全になくなりはしていないものの、なんとか大会期間中の騒動だけは収めることができたようだ。現地世論調査によれば、ジルマ・ルセフ大統領の支持率もワールドカップの評価を受けて上昇しており、少しは国民のワールドカップに対する理解も深まったと見る向きもある(もっとも、これはブラジルが準決勝で歴史的大敗を喫する前の調査結果ではあるが......)。

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