2014.06.12

W杯でチームが疲労の問題を解決する方法はふたつある

  • サイモン・クーパー●文 text by Simon Kuper
  • 森田浩之●訳 translation by Morita Hiroyuki

【サイモン・クーパーのフットボール・オンライン】ワールドカップのサッカーとは?(後編)

「ワールドカップはクラブの試合より守備的」「偉大な選手がひとりいればワールドカップを獲得できることもある」「システムはよりシンプルに」以外にも、ワールドカップのフットボールがクラブのそれと異なる点はある。

初戦でイタリアと対戦するイングランド代表のルーニー photo by Getty Images4 対戦相手を分析する時間はたっぷりある

 代表監督は選手にシステムを教え込む時間はないが、対戦相手を研究する時間ならたっぷりある。ワールドカップに行く監督の毎日を想像してみよう。12月の組み分け抽選が終わると、監督、それにチームのデータ分析担当(フットボール界で増殖中の種族だ)には、1次リーグで対戦する相手のほんの小さな欠点まで調べ上げる時間が6カ月もある。クラブの監督も相手チームの研究はするが、はるかに時間が限られている。クラブは年にざっと60試合をこなすから、監督が選手に伝えるメッセージは簡潔なものにしなくてはならない。

 そんな理由から、フットボールの国際試合はチェスのような競技になっている。2012年欧州選手権のドイツ─オランダ戦の前には、ドイツのデータ分析担当者が対戦相手のさまざまな統計を調べ上げ、カギとなる事実を見つけた。オランダのディフェンダーは互いの間隔を空けすぎることがけっこう多いというのだ。