W杯でチームが疲労の問題を解決する方法はふたつある (2ページ目)
ドイツ代表の門外不出の「教本」は、4バックのときのディフェンダー間の理想的な距離を8メートルとしている。オランダ代表のディフェンダーは、たいていそれより離れていた。ウクライナで行なわれた1次リーグの試合でドイツはこの「穴」を見つけ、2-1で勝った。
5 疲労との闘いがカギを握る
シーズンを終えたばかりの選手たちは、疲れきった体でワールドカップにやって来る。プレミアリーグはヨーロッパでもとりわけハードなことで知られるが、プレミアを代表するウェイン・ルーニーやロビン・ファン・ペルシー、フェルナンド・トーレスといった選手たちが、4年前の南アフリカ大会でいかに何もできなかったか覚えているだろうか。それに加えて、決勝まで進んだチームは1カ月の間に7試合を戦うことになる。
つまり、どんな国だろうとワールドカップという舞台では、バイエルンのような一流クラブと同じテンポ(トップクラブではパスを出した瞬間に全力で走りはじめることがほとんど義務になっている)でプレイできないということだ。
ブラジルの気候も選手たちに影響するだろう。とくに赤道に近い北部のいくつかの開催都市と、アマゾンに位置するマナウスでの試合はきついと思う。ブラジルのフットボールが昔から休むところで休むのは、偶然ではない。この気候のなかで全力を出しつづければ、病院に運ばれることは目に見えている。
チームが疲労の問題を解決する方法はふたつある。ひとつは科学的な準備と体調管理を徹底すること。ユルゲン・クリンスマン監督のドイツが2006年大会で行なったように、だ(今大会でアメリカ代表を率いるクリンスマンは同じことをするかもしれない)。
もうひとつはペース配分をしっかりすること。この手法がうまいのはなんといってもイタリアで、相手が疲れてきた試合の最終盤に決定的なゴールを決める。
しかしキックオフからペース全開でプレイしようとするチームは、すぐに勢いがなくなっていく。この安い乾電池のようなチームの代表格は......イングランドだ。
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