レアルCL決勝進出。バイエルンを分析し尽くしていたアンチェロッティ (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 ポゼッションを高めて試合を支配する。バランス良くパスを回して時間を使うことで、守備リスクを最小限に抑える。今季ここまで高めてきた"ペップバイエルン"のスタイルが、この日もピッチにはあった。

 ただグアルディオラはこの日のバイエルンについて「ボールを持っている時のプレイが良くなかった」と語っている。4失点という展開でもなお、64%のボール支配率、82%のパス成功率を誇るバイエルンにとって、ボールを持っている時のプレイは他のチームとは比べ物にならないほど重要な意味を持つ。そこがうまくいかなかったのは、戦術的な誤りと言える。「責任は私にある」と、グアルディオラは続けた。

 一方、レアル側から見るとバイエルンの弱点は明らかだった。超高速カウンターを得意とするレアルにとって、バイエルンが全体を押し上げることで生まれるスペースが絶好のチャンスになるということは事前に分かっていた。「バイエルンにはスペースがあり、我々には速い選手がいる」と語っていたのはレアルのベイル。バイエルンのキャプテン、ラームは「スペースを与えすぎたことは見直さないと」と、認めた。

 またこの試合でカギを握ったセットプレイに関して、アンチェロッティは「バイエルンはファーポストに問題がある」と語っている。そこを突くために、セットプレイについて入念な準備をしたという。試合はその言葉通り、2度のセットプレイで決まった。セルヒオ・ラモスの先制ゴールからわずか4分後、フリーキックに再びセルヒオ・ラモスが合わせると、事実上バイエルンの決勝進出はなくなっていた。

 バイエルンにとっては、自分たちの戦い方が万能ではないと気づかされた一戦だった。だがグアルディオラは「全体的な分析をするにはまだ早い」とし、まずは残るドイツ杯のタイトルへとチームの仕切り直しを誓った。

 そして決勝トーナメントに入ってからシャルケ、ドルトムント、バイエルンとドイツ勢をなぎ倒して決勝進出を決めたレアル・マドリードは、5月24日、10度目のCL優勝をかけて戦うことになる。

2 / 2

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る