香川真司も歯が立たず。シティとユナイテッドに切ないほどの差

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by Getty Images

 残念なことに、緊張感を欠いた見応えのないダービーとなってしまった。

 マンチェスター・シティは、前半開始早々に1点を決めたことで一気にテンションがダウンした。ところがそれに対して、マンチェスター・ユナイテッドは何をしても太刀打ちできないのだ。プレミア優勝候補の筆頭と、今やヨーロッパリーグ出場権さえ危ういチームとでは、切ないほどのレベルの差があった。それがダービーらしからぬ緩い一戦となった原因だ。今季のマンチェスターダービーは、昨年の9月に続いてこれでシティが2連勝。「シティはユナイテッドにとって強すぎた」というのがBBC電子版のタイトルだった。

マンチェスター・シティ戦に後半から出場した香川真司マンチェスター・シティ戦に後半から出場した香川真司  試合は立ち上がりで決したと言っていい。ホイッスルが鳴ってからわずか45秒後のこと。ナスリが左からシュートを放ち、ポストに当たったこぼれ球をフリーになっていたCFジェコが難なく押し込んだ。その直前にもシルバが右サイドから仕掛けてチャンスを作っており、勢いの違いは明らかだった。

 ユナイテッドはキャリックを1ボランチにした4-1-4-1で攻撃的に戦いたいようだったが、時間の経過と共にフェライニがボランチの位置に落ちてきて4-2-3-1になっていった。おそらくはフェライニを攻撃的に使いたいというのが当初の意図だったのだろうが、フェライニは守備に追われることになり、マタとルーニーのホットライン以外に効果的な手段はなくなった。

 シティのペジェグリーニ監督は「ユナイテッドのチャンスはおそらく1度」と言い切った。それは前半40分の攻撃シーンのことだったかもしれない。右サイドをえぐったSBラファエルが速いマイナスのクロスを入れるが、中央のルーニーは空振り。その奥でマタが右足を振ったが、ボールは枠を大きく外れた。このときにルーニーの右足がボールを捉えていればゴールのチャンスだっただろう。

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