セードルフ監督の立場は首の皮一枚でつながっている状態だ

  • ステーファノ・メレガリ(『Forza Milan!』編集長)●文 text by Stefano Melegari
  • 利根川 晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

オフィシャル誌編集長のミラン便り(11)

「この試合で負ければセードルフ監督は解任ではないか?」

 そんな文字が新聞の一面を飾る中、アウェーの地、ローマのスタディオ・オリンピコでラツィオ戦が行なわれた。この試合に負ければミランは5連敗。もう後はない。この一週間、チームはこの試合のためだけに集中してきた。シーズン開幕当初からミランの危機はずっと続いてきたが、先週のパルマ戦の後、最も熱いサポーターが陣取るクルバ・スッド(南ゴール裏)より出された抗議は、ミランの状況をより深刻なものにした。

解任説が飛び交っているセードルフ監督と本田圭佑(BUZZI/FOOTBALL PRESS)解任説が飛び交っているセードルフ監督と本田圭佑(BUZZI/FOOTBALL PRESS) セードルフはミランのベンチに座ってまだ2ヵ月だが、ミランの不調の原因とされた。ミランのロッカールームが真っ二つに割れているという声もあり、冒頭のセードルフの解任説がまことしやかにささやかれていた。

 ラツィオ戦の結果は引き分けで、どうにか今のところ首の皮一枚でつながっている状態だ。しかしこれもいつまで続くかはわからない。

 この試合のミランのプレイは、時々刻々と、様々な様相を見せた。最初は自分たちのプレイを組み立てるよりも、失点することを恐れてハンドブレーキを引き過ぎてしまっている状態だった。しかし好調のカカに引っ張られるように、ミランはだんだんと勇気を取り戻し、(かなり運に助けられたところもあったが)先制ゴールをマークした。しかしラツィオに同点に追いつかれると、ミランはまたも怖くなったのか、ブレーキを引き始めてしまった。ゴールバーをたたいたバロテッリのシュートもミランの敗戦への恐怖を取り去ることはできなかった。

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