最下位に辛勝。対戦相手から恐れられなくなったマンUの現状 (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by Getty Images

 その直後にも、キャリックのバックパスをジョーンズが誤って処理したところを抜け目なくさらわれ、猛ダッシュで奪い返すシーンがあった。つまり、超消極的なプレイが相手にチャンスを与えていたわけだ。

 ユナイテッドの問題はいくつかあるが、最たるものはいかに守るのかという意図が見えないことだ。そのため個の対応が増え、連係ミスが起きる。守備の改善がまずは急務だろう。この時点でモイーズが控えのスモーリングを交代選手として用意しようとしている。CBの連係ミスを目にして、その一枚を代えればすむと考えたのだろうか。だが結局、この前半のウォーミングアップは生かされることなく、スモーリングは試合終盤に右SBで出場することになる。このあたりの意図も全く不明瞭だった。

 昨季までのユナイテッドであれば、先に失点することがあっても、必ず逆転できるという安定感のようなものがあった。だが最近のチームにはその自信が全く見られない。

 この日も先制された後は、攻撃の糸口を探してさまようことになった。サンダーランドは守備に人数をさくようになり、ユナイテッドはボールを保持こそするものの、 最終ラインからボランチあたりで回し、手詰まりになって前線に放り込む。そこでセカンドボールを拾われ一気に運ばれるという展開が続いた。シュートは放つが基本的にミドルシュート。7分にナニ、18分にキャリック。21分にはエブラのクロスをナニがとらえるが枠を大きく超える。その後も22分ルーニー、23分ヤヌザイとミドルシュートが続き、全くゴール前に入れないまま時間が過ぎていった。

 ルーニーがこの時間帯から早くもいら立ちを見せ始めたのも、窮地を物語っているように見えた。サンダーランドは現在最下位であり、過去24戦して1度しか負けてない相手である。ビハインドの時間帯があまりにも長過ぎた。

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