CLへ不安要素満載?バルサとレアル、それぞれの内紛 (2ページ目)

  • 山本美智子●文 text by Yamamoto Michiko
  • photo by Getty Images

 しかし、ラポルタがバルサを去って、ロセイが権限を握った途端、この名誉会長職に待ったをかけた。クラブの重要決定事項はすべて会員を通して行なうのが道理であり、名誉会長職については、総会で承認を得るべきだと主張したのだ。

 そして、2010年の総会で決議をとった結果、ロセイの主張どおり、クライフは名誉会長職を剥奪されることになった。もともとは、元会長のラポルタがロセイに罵詈雑言を浴びせ続けたことがこの名誉会長職剥奪の根っこにあり、そんな両者の争いのなか、クライフは常にラポルタ側に立ってきた。 

 ロセイはといえば、基本的には「応酬せずに無視」の姿勢をとっており、今回、バルセロナホームのアヤックス戦で、クライフをカンプノウの貴賓席に招待するなど、最低限の礼儀を払ってはいる。

 だがクライフは、「ロセイが会長でいる限り、カンプノウの土を踏むことは二度とない」と断言。また、バルサがこれまでは振り込んでいたクライフ財団への100万ユーロ(約1億3000万円)の支払い義務を果たしていない、と公に訴えている。

 それについてロセイは、「支払うのは構わないが、そのお金が財団でどのように使われているのかが不透明」だとして、明細を提示するよう求めており、両者の言い分は平行線をたどっている。

 さらに、クライフは今回のバルサ対アヤックス戦について、「この試合でアヤックスが勝つことを望んでいる」と明言し、場外戦は荒れる一方だ。


 一方のレアル・マドリードは、クリスティアーノ・ロナウドと2018年までの契約更新の合意に達して、「めでたしめでたし」の祝賀ムードかと思いきや、意外にそうでもない。

 今回のロナウドの年俸大幅アップにより、クラブ内での「年俸格差」はさらに広がり、まさに「ロナウドとのその他大勢」の状態なのだ。ロナウドは推定年俸2100万ユーロ(約27億円)を受け取ることになるが、税金も含め、実際にクラブが支払う金額は4000万ユーロ(約52億円)に上るという。

 これはメッシの約3倍、ネイマールの約4倍にあたるといえば、並外れた額であることが伝わるだろうか。つい数日前、ギャレス・ベイル獲得にかかった史上最高の移籍金、1億ユーロ(約132億円)について、レアルの第二監督、ジネディーヌ・ジダンが「1億ユーロに値するサッカー選手なんていない」と発言して話題を呼んだが、その舌の根も乾かぬうちに、このロナウドの年俸のニュースが流れたというわけだ。

 また、ジダンの口からは、「エジルは(ポジション)争いを避けて出て行った。ディ・マリアは戦う意思があったから残った」という言葉も洩れた。この発言も、実はレアルのロッカールームで悪評だったという。

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