テベス、ジョレンテ...着々と成果を上げるユベントスの補強戦略 (2ページ目)

  • アントニオ・バリッラ●文 text by Antonio Barillà
  • 内海浩子●訳 translation by Uchiumi Hiroko

 幸運の一言では片付けられない。なぜなら、大金を使わずしてベッペ・マロッタCEOが黄金を手中に収めるのは毎年のことだからだ。現在のチームの宝石となっているピルロや、未来の大器、MFポグバもジョレンテ同様に契約切れにより移籍金なしだったし、ボルフスブルクの隅っこに追いやられていたDFバルザーリは微々たる移籍金で獲得した。確かに失敗作もあった(例えばMFマルティネスに1200万ユーロも使ったことなど)。だが、着々とパワーアップしているユーベの強さがそれを忘れさせている。

 しかし出し惜しみをしているわけではない。ユーベは目立たぬところで金銭的犠牲も払っている。CBオグボンナをトリノから補強し、アタランタからレンタル中だったDFペルーゾと、ウディネーゼとの共同所有だったMFアサモアを買いとった。その結果、自給自足を求められる経営陣には選手を何人か売る仕事が迫られている。

 そのため、キエッリーニ、バルザーリ、ボヌッチというイタリア代表選手を配するCBに、果たしてオグボンナを追加する必要があったのかという疑問の声が多く上がっている。これに対し、複数のコンペティションを戦うチームにとってはレギュラー級の交代要員が必要だとチーム側は説明する。またオグボンナは、防御だけでなくプレイの起点となる能力を守備陣にも要求するコンテのサッカーに適している、というのが彼らの理屈で、「世界屈指のDFになるポテンシャルを持っている」と、コンテ自身も期待をかけている。

 コンテは戦術的に3-3-4を試してはいるものの、2年連続でスクデットを獲得した3-5-2に落ちつくことになるだろう。いずれにせよ、状況に合わせてシステムのバリエーションが増えるのは間違いない。ジョレンテは今までのユーベに欠如していたくさび役が出来る空中戦に強いFWだし、ピルロが封じ込まれサイドからの攻撃も敵に阻まれた際には、テベスという名実ともに背番号10が解決するという新たな一手も得た。

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