「本田圭佑のミラン入りはこの夏」とするイタリアメディアの根拠 (2ページ目)

  • アントニオ・バリッラ●文 text by Antonio Barillà
  • 内海浩子●訳 translation by Uchiumi Hiroko

 移籍金ゼロでの約束を手中にしたミランは次の段階へ移った。それはこの夏のメルカート中に彼をミラノへ引っ張ってこよう、というものだ。この動きに拍車をかけたのが、EU外選手枠の問題解決である。7月5日、ナイジェリア人のタイウォをトルコのチームへ放出できたため、1枠空いたのだ。

 これで登録面は問題なし。選手も今すぐミランへ来たがっている。だから今すぐ獲得したいところなのだが、障害が立ちはだかる。もうすぐ契約が切れるというのに700万ユーロ(約9億円)の移籍金に固執しているCSKAの柔軟性のなさだ。

 この額は、ミランが名乗りを挙げる前にエバートンがCSKAに提示した移籍金の金額である。ミランにはその額に応じるつもりはないものの、チャンピオンズリーグ予選を8月末に控えていることもあり、もし本田をすぐに手に入れられるなら金銭的犠牲も考慮する可能性がある。だが現在のところ、選手獲得に必要な資金を手にするための選手放出が、フロント陣の第一ミッションとなっている。来季の戦力としてゲットしたポーリとサポナーラはふたり合わせて650万ユーロであった。

 新たな資金が手に入った暁にアッレグリ監督が手にする新加入選手第一号が本田となるはずだ。なぜなら本田はミランが欲する技術と戦術力を保証するトレクアルティスタ(トップ下、オフェンシブ・ミッドフィルダー)だからだ。もしボアテングが残ることになったとしても、このポジションにおける信頼は100%ではない。

 トレクアルティスタは今季のミランが敷く新システムの"基本"である。ベルルスコーニ会長の"戦術リクエスト"もあって、今季ミランは3トップを使わない。エンポリからやって来たサポナーラは優れた選手だが若すぎるし、何といっても1月に本田が入ると分っていて他のトレクアルティスタにミランが投資するとは考えにくい。それよりもミランがCSKAとの合意点を模索する方がずっと想像しやすい。

 今回のオペレーションに関わっているブロンゼッティら仲介人が持つ外交能力もミランはアテにできる。大物放出(ロビーニョかボアテング)か複数選手の放出(ストラッサー、オドゥアマディら)が決まってくれば、ミランはCSKAを揺さぶってくるはずだ。それに、約半年前に本腰で本田を狙ったラツィオをギブアップさせたほど頭の固いCSKAのフロントとはいえ、あと5カ月でタダになるなら少しでも稼いだほうがいいという真っ当な考えに至るかもしれない。

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