コンフェデ総括。サッカー向きの気質の国が戦った決勝トーナメント (4ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Akagi Shinji

 ウルグアイ、イタリア、さらにはメキシコにも言えることだが、サッカーという競技に彼らが気質的に向いていることが、今回、あらためてよく分かった。しぶとい。へこたれない。バタバタしない。

 サッカーに適した気質として「マリーシア」が取り上げられるが、それ以外にも、外国人にあって日本人に足りない要素は数多くある。これから日本が上を目指そうとしたとき、ベスト16の常連になるためには、そのあたりの追求は避けて通れない。ファンの反応、メディアの反応を含めて、いまの日本のサッカーは“サッカー的”ではない。

 日本代表のサッカーがサッカーらしくないことは、日本が敗退した後も大会を観戦していくとよく分かる。

 ブラジルは、監督がスコラーリに代わり、すっかり4-2-2-2の古典的な匂いが消えた。ブラジルの定番である4-2-2-2を用いている国は他にない。4-2-3-1、4-3-3系が主流だ。

 にもかかわらず4-2-2-2で戦うことは、非効率を招く。これまでのブラジルは、攻撃する人と守る人が真っ二つに別れやすい、非プレッシング的なサッカーに陥っていた。それはスコラーリ就任前と後の、ネイマールのポジションに表れている。比較的自由に動き回っていた就任前に対し、就任後は、左ウイングとも言うべきポジションを8割方維持しようとしている。相手のサイドバックの攻撃参加を牽制しようとしているのだ。

 スコラーリでなければいけない理由はここにある。欧州的なものの考え方ができる監督でないとW杯は戦えない。ブラジル人監督の中でそれができるのはスコラーリだけだった。その就任とともにブックメーカーの順位が入れ替わるのは当然の帰結だった。

 だがブラジルはまだ、スペインに比べてボールの奪い方が巧くない。パスコースの数も少ない。パスコースと同義語である三角形の作り方が巧くない。それに加えて、個人技だ。ボール操作術でもブラジルはスペインに劣った。

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