コンフェデ総括。サッカー向きの気質の国が戦った決勝トーナメント (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Akagi Shinji

 スペインの布陣は4-3-3。その前線には左からペドロ、フェルナンド・トーレス、ダビド・シルバが並んだ。だが、シルバは右サイドの高い位置を維持する時間より、真ん中に入る時間が長かった。そのためその3トップは、2トップに見える時間の方が長かった。3バックで対応しやすい絵を、ピッチの上に描いていた。

 2年前もスペインは同じ傾向に陥り、イタリアに苦戦したが、教訓は活かされていなかった。少なくとも、ダビド・シルバがベンチに下がり、ヘスス・ナバスが投入された後半頭まで、イタリアの3-4-3は有効に機能した。イタリアは優勢に試合を進めた。スペインは、すなわち試合の入り方に失敗した。

 ザッケローニはその3-4-3を見て、大いに触発されたと聞く。参考になったと言ったらしい。だがヘスス・ナバスが投入された後は、イタリアの3-4-3は5バック気味になった。彼が右の高い位置で開いて構え、スペインの攻撃が3FW的になると、イタリアのサッカーは途端に守備的になった。イタリアはそれでもなんとか持ちこたえた。正確に言えば、その3-4-3が機能したのは前半のみ。試合の入り方を間違えたスペインが勢いに乗り切れなかったためだ。 延長に入るとイタリアの守備的な傾向にはさらに拍車がかかった。イタリアの3-4-3への対策は用意されていた。もしザッケローニが「イタリアが成功したから日本も」と言うのであれば、危険だと僕は思う。

 とはいえイタリアはしぶとい面を見せた。準優勝したユーロ2012からの流れを維持できているようだった。平均的な選手が多く、これだというスーパーな選手はいない。若手にも驚くべき選手はいない。だが、このメンバーでもう一年、もちそうな気がする。バリエーションの多い戦い方に懐(ふところ)の深さを感じる。

 準決勝でブラジルに敗れたウルグアイも、前回南アW杯ベスト4の実績そのままの高いレベルを維持している。準決勝では内容でブラジルに勝っていた。あえて退いてやったという感じ。

 左からカバーニ、フォルラン、スアレスの前3人は、ブラジルの前3人(ネイマール、フレッジ、フッキ)より上だった。

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