2013.03.14

【CL】バルセロナを大逆転へと導いたシャビのひと言

  • 山本美智子●取材・文 text by Michiko Yamamoto photo by AFLO

キャプテンマークを巻いて出場したシャビ。バルセロナはチャンピオンズリーグ第2レグでミランに4-0で勝利しベスト8進出「僕達のジェネレーションは、多くのタイトルを制覇してきたけれど、不足しているものがあるとすれば、歴史的な大逆転だ。今こそ、唯一、達成していないその歴史的大逆転を現実にする時だ」

 すべては、このシャビ・エルナンデスのひと言から始まった。

バルセロナは落ち込んでいた。ティト・ビラノバ監督の代わりを任された第二監督のジョルディ・ロウラは「チームの状態はいい」と壊れたレコードの如く繰り返していたが、ビラノバ監督の不在が長引くほどに、選手は進むべき方向を見失っていった。

 ニューヨークで療養中のビラノバが、ビデオ会議で直接選手に話しかけても、選手を元気づけるイメージビデオを作っても、効果は出なかった。レアル・マドリードに2連敗し、そのうちの1敗が、国王杯の敗退を決めた。世界一のパスサッカーと呼ばれたプレイは、次の展開が容易に読める凡庸なサッカーと化し、サン・シーロで行なわれたチャンピオンズリーグの第1レグでは、2-0でミランの前に屈した。

 チャンピオンズリーグにおいて、アウェーゴールは次に勝ち進むためには譲れない条件だが、その最低条件すら、バルセロナは達成することができなかった。しかも、92-93シーズンにチャンピオンズリーグが現在の大会方式になってから、第1レグを2-0で負けたチームが逆転を果たした例はない。

 そんな停滞ムードを破ったのが、シャビの言葉だったのだ。

「僕らの世代がやり残している歴史的大逆転」。誰もがこの言葉にすがりついた。マスメディアも、選手も、クラブ関係者も、全員が「歴史的大逆転」を狙うと言い始めた。

 それは、単純なひと言であったが、進むべき道の足もとが灯りで照らされたような、祈りにも似た効力を発揮した。誰もがホーム、カンプノウでの逆転勝利という目標に向けて走り出した。