【ベルギー】同僚・川島永嗣が語る
「S・リエージュが小野裕二と永井謙佑を獲得した理由」
ベルギーの地でチームメイトとなった小野裕二(左)と川島永嗣(右) 1月25日、スタンダール・リエージュがコルトライクを下した後のプレスルームで、地元の記者たちから「『彼』は良いデビューを果たしたじゃないか」と声をかけられた。『彼』とは、背番号14番の新人――小野裕二だ。
0-0のまま膠着(こうちゃく)状態に陥っていたゲームは、54分、小野の登場によって動き出した。まずは小野のファーストタッチに対し、かわされそうになったコルトライクの選手がたまらずファウル。さらに58分、小野がスルーパスから決定機を作ったことで、ゲームはようやく活気づいた。すると59分と65分、S・リエージュが畳み掛けるようにゴールを奪って2-0。4-4-2の左MFとして登場した小野は、その後も好プレイを連発してチームの勝利に貢献した。
守護神の川島永嗣は、小野のデビューマッチをこう振り返った。
「(小野)裕二はオフでしばらくサッカーをやってなかったのに、急に出てもやれる力はありますね。環境に慣れてくれば、もっとチームのアクセントになると思います」
川島が言うように、小野にとってはあまりにも急なベルギーデビューだった。チームへの合流は、コルトライク戦のたった3日前。しかし小野は、その短い時間でミルチェア・レドニク監督に、「最初のトレーニングを見て驚いたよ。長旅にもかかわらず小野は疲れを見せず、テクニックも優れていたので、すぐにマッチすると思った。だからコルトライク戦はベンチに入れたんだ」と言わしめたのだ。
指揮官は、前半の終わりごろには小野の投入を決断していたのだろう。ハーフタイムに小野が控え選手とボールを蹴っていると、彼のもとにコーチが近づき、耳元で「30分間、プレイするぞ」とささやいた。
「でも、言葉の意味はよく分からなかった。『サーティーミニッツ』と言われましたが、30分間プレイするのか、後半30分から行くのか......。でも、メンバーに入ったからには、しっかり出場できる準備をしていました。まずはデビューできて、本当に良かったです」
小野は試合後、苦笑交じりにハーフタイムの場面を振り返った。
デビューした小野に対し、チームメイトはどんな言葉を掛けたのかと聞くと、それも何を言っているのかは理解できず、「ナイスプレイ」という言葉しか聞き取れなかったと笑う。しかしその後、表情を引き締めた小野は、こう語った。
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