【イタリア】アズーリなのに攻撃的。
プランデッリ代表監督が進める「チーム改革」
プランデッリ体制になって2年半。世代交代も進んでいるイタリア代表
イタリア代表はユーロ2012決勝で王者スペインに大方の予想通り完敗(0−4)した。それだけでなく、この1年の親善試合は5戦5敗。その中の一戦、つい先日(11月14日)の対フランス戦も、ある程度の出来であったとはいえ、やはり負けるに相応しいというべき展開の末に1−2で落としている。
通常であれば、超の付く「勝利至上主義」が絶対的な概念とされるイタリアのサッカー界において、しかも国のA代表である以上、たとえ親善試合とはいえ5敗目とくればもう轟々(ごうごう)たる非難に晒されるはず。だが、なぜか現代表を取り巻くムードは実に落ち着いているのだ。
あの"悪夢"の2010年W杯南ア大会(グループリーグ最下位で敗退)と、その直後のカオスを間近で見た者のひとりとしては、今のどこか"ほのぼの"とした空気に戸惑わずにはいられない。
たしかに、2014年W杯ブラジル大会の欧州予選では今のところ3勝1分け。着実に勝ち点を重ね首位に立っているのだから、ということもあるのだろうが、それにしても混乱こそがお家芸であるはずのイタリアがなぜこうも「良好なムード」でいられるのか......。やや拍子抜けしながら、代表チームの合宿地、コベルチャーノに取材に入る度にそう思わざるを得ない。それは、プランデッリの代表監督就任から今日までの2年半、筆者だけでなく、イタリア人の番記者たちが常に抱き続けてきた心情でもある。
ただし、メディアだけでなく代表チームのスタッフも含めて、多くの人が"過去の代表との本質的な違い"を目の当たりにしているのも事実だろう。つまりそれは、他ならぬプランデッリ監督の温厚な人柄であり、自分たちのサッカーを常に建設的であるようにする彼の一貫した姿勢である。
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