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【イタリア】アズーリなのに攻撃的。
プランデッリ代表監督が進める「チーム改革」 (3ページ目)

  • 宮崎隆司●取材・文 text by Miyazaki Takashi
  • photo by Getty Images

 昨年7月には、プランデッリはグアルディオラを講師として招き、その戦術や概念を貪欲に学びながら、ユベントスが試行錯誤の末に3−5−2を一定のレベルで完成させると、それを躊躇なく取り入れてオプションとしている。さらにFW2枚には、ヴェントゥーラ監督率いるトリノで顕著な4−2−4で定番とされる動きを必要に応じて組み込む。結果、これも現代サッカーでは何ら珍しくないのだが、“状況に応じたシステム変更”が試合を経る毎に精度を高めていると言える。
 
 中盤からガットゥーゾ的MF、いわゆる「潰し屋」が姿を消したのも過去のイタリア代表との違いのひとつだ。そのうえで、プランデッリ監督は就任以来、一貫して「もう一度、国民に深く愛される代表を作りたい」と繰り返し述べてきた。そのための手段として「常に自分たちの側から攻めにいく姿勢を持つチームでなければならない」と言い、だからこそ「あくまでも選手個々の“質”を向上させることこそが、まさにバルサとスペインがそうであるように、見る者を惹き付けるサッカーを具現化するために最も確率の高い手段になる」と語る。

 そして、監督は「国民に愛される代表」にこだわる理由として次のようにも語っている。

「我々は誰よりも深くイタリアの限界を知っている。残念ながら自分たちのDNAにはスペインやブラジルのような足技という遺伝子が組み込まれてはいない。この原点に立ち戻るところから我々は新たな歩みを始めた。だからこそ、スペインやブラジルに多くを学びながらも、そこに自分たちならではのスタイルを加味させていくことで差を埋めなければならない。かつてのような超大物選手を持たないイタリアには、過去とは異なるメンタリティが必要になる。当然、そのメンタリティは常に攻撃的でなければならない。さもなければファンの心は代表から離れていくからだ。より速く、より鋭角に攻めて、より高い位置でボールを奪い返して再び分厚い攻撃を仕掛けていく。結果として今、おそらくは過去のイタリア代表にはなかったサッカーを我々は実践していると言えるのかもしれない。

 ブラジルW杯まであと2年足らず、その完成を目指して前へ進んでいきたい。もちろん勝つために、だ。だが、たとえ勝てなくとも、今年のユーロと次のW杯は、遠くはない将来にきっと、イタリアのサッカー界にとっての重要な転換期として語られることになるだろう。私は今、そう信じて疑っていない」

 W杯予選のグループBで現在首位のイタリア代表。進化の途上にあるアズーリは、次のW杯でどのような姿を世界に見せてくれるのだろうか。

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