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【イタリア】ミラノダービー直前!ミランは息を吹き返したか? (2ページ目)

  • 内海浩子●文 text by Uchiumi Hiroko
  • photo by GettyImages

 数日であろうとも監督更迭の声が静まるとガッリアーニに思わせたのは、グループステージ最大の敵といわれるチームにアウェーで勝っただけでなく、ミランが監督就任を打診したこともある敵将スパレッティに、アレグリが采配で優ったことにもあるだろう。

 まず戦術でスパレッティの意表を突いた。スタメンの顔ぶれからいくと4-2-3-1だが、実質はボージャンとボアテングを2トップにした4-4-2。そのため、右のアバーテとエマヌエルソン、左のアントニーニとエル・シャラーウィが仕掛けるサイドからの攻撃によってゼニトは劣勢を強いられた。スパレッティがそれを黙って見ているわけがなかったが、彼がシステムを4-4-2に変更してそれに対応した時、スコアはすでに2対0になっていたのである。

 陣形が4-4-2同士になると、今度は力と経験で優るゼニトが中盤を完全掌握して優位となった。アレグリ自身が認めているが、彼はここで対応が少し遅れる。GKアッビアーティがファインプレイを連発して大量点は食い止めていたが、試合は2対2の同点に。

 しかし次の手によってミランは再び挽回する。生粋のCFパッツィーニを入れ4-3-2-1になったことで敵DFに生まれたブレがオウンゴールを呼んで再びリード。すると今度はボアテングを外してDFを入れ、5バックで守備を固めて逃げ切ったのである。

 ミランにはまだ課題が山積している。MFやDFがマークを外されすぎて決定機をいくつも与えてしまうし、戦術が封じ込まれると代案や個の解決策に乏しい。失点のほとんどがセットプレイからというのも対策が必要だし、ボアテングの扱いはまだ迷走中のようだ。イブラヒモビッチが複数DFをひきつけて出来たスペースに入り込んで危険人物となっていた彼だが、今のミランにはイブラがいない。ゼニト戦ではボージャンのパートナー役にトライしていたが機能したとは言い難い。

 大幅にメンバーが入れ替わったミランはまだまだ建設中なのである。

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