【EURO】真逆だったフランス、イングランドのドローの受け止め方

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • 原悦生●写真 photo by Hara Etsuo

同点ゴールを決めたナスリ(フランス)同点ゴールを決めたナスリ(フランス) 1対1のドローに終わったフランス対イングランド。フランスにとっては不満の残る、一方のイングランドにとっては及第点の初戦となった。
 
 この日、ウクライナのドネツクは気温31度。現地時間18時キックオフにもかかわらず、日差しの強さと蒸し暑さはまるで日本の夏。ドネツクの天候は事前にわかっていたが、イングランドのホジソン監督も「立ち上がりのコンディションは両チームとも厳しかった」と認めている。

 特にイングランドの選手は、早い時間帯から肩で息をし始めた。イングランドはベースキャンプをポーランドのブロツワフにおいており、最近の気温はドネツクよりもおよそ10度ほど低い。一方フランスはドネツクをベースにしており適応の差が出たかもしれない。

 前半は、お互いにゴール前に迫り切れないというよりも、動きを制限したかのようなスローなサッカーに、スタジアムのサポーターからはブーイングが起き、それが徐々に激しくなっていく。このブーイングとともに、なぜか「ロシア、ロシア」という不気味な声援が文字通りピッチを包み込む。ドネツクという土地柄(ウクライナ語でなくロシア語を話し、ロシア色が強い。地理的にも今大会開催都市で最も東側に位置する)からロシアコールが起きたのか。いずれにしてもピッチ上で起きていることに対する不快感だけは伝わってきた。

 フランスはブラン監督就任以降、メンバーも若返りをはかり、南アW杯でのネガティブなイメージを払拭中だ。2010年9月以降 代表は21戦負けなし、直前の親善試合でも3連勝するなど好調で上位進出も狙えるとされている。ブラン監督からわざわざ「フランスは優勝候補ではない」などというコメントが出るほど、期待は膨らんでいた。

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