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【EURO】ロナウド沈黙、ドイツの術中にはまったポルトガル (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • 原悦生●写真 photo by Hara Etsuo

 一方、ポルトガル攻撃陣を無失点でおさえ切ったことに対しての手応えは大きかった。

「攻撃は改善の必要があるが、守備に関しては全員でよく守った。フンメルスも良かったしボアテングもロナウドに対してうまく対応してくれた。バートシュトゥーバーもラームもよく守った」と、レーブ監督は高く守備面を評価した。

 実際、ドイツにとってポルトガル攻撃陣、つまりはロナウドからいかにゴールを守るかが勝利へのカギだった。ボアテングは「ロナウドが飛び抜けていることは誰もが知っている。我々はチームとしてハードワークで彼を黙らせた」と、入念な対策があったことを認めた。

 そのロナウドにボールが渡った際の迫力はやはり両チームの中でも随一だった。左サイドのスペースで受け一気にタテをえぐったり、中央に入っていき正面からゴールに迫ったり、自在な攻撃を見せた。

 ただ、ボールを受ける回数自体は少なかった。パスを受ける本数はポジションの性格上そもそも多くはないが、最前線に張るポスティガの18本についで少ない36本。後半37分、強烈なミドルシュートはフンメルスとボアテングの間をすり抜けあわやというシーンを作るが、結局はノイヤーに弾かれた。

「ドイツはラッキーで、我々には運がなかった」とベント監督は悔しげに振り返った。だがこれは決して運などではなく、ドイツの術中にはまったと言って差し支えないだろう。

「今日は勝てたことが全て」と、ドイツの主将ラームは繰り返した。優勝候補の筆頭に挙げられるドイツではあるが、それでも初戦に勝利することは容易ではなかった。選手たちの安堵の表情と指揮官の興奮ぶりから、そんな当たり前のことが伝わってきた。

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