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【イングランド】マンU、シティ...今季のビッグクラブの監督を評価する (2ページ目)

  • サイモン・クーパー●文 text by Simon Kuper森田浩之●訳 translation by Morita Hiroyuki
  • photo by Getty Images

 このランキングはその後変わっているはずだ。2011~12シーズンの各クラブの収支が正確にわかるのは2013年の6月だろうが、マンチェスター・シティがチェルシーを抜いてトップに立っている可能性はかなり高い。しかしチェルシーは、まだマンチェスター・ユナイテッドより高い年俸を払っているだろう。僕の推定では、2011~12シーズンの選手年俸トップ6クラブは以下のとおりだ。

1 マンチェスター・シティ
2 チェルシー
3 マンチェスター・ユナイテッド
4 リバプール
5 アーセナル
6 トットナム

 繰り返すが、平均的な監督は選手年俸から予測できる成績をあげる。ということは、今シーズンはマンチェスター・シティが優勝してしかるべきだったし、チェルシーは2位になっていてもよかった。選手年俸から予測できるものよりも上の成績をあげていたら「エリート監督」で、下の成績しかあげられなかったら「ダメ監督」ということになる。だがクラブには、それぞれの事情がある。それらをすべて考え合わせると、2011~12シーズンのプレミアリーグ監督の業績評価は以下のようになるだろう。

 アレックス・ファーガソンは、いつもどおりの好成績だった。選手年俸がリーグ3位で世代交代のさなかにあるチームが、マンチェスター・シティに最後の1分でタイトルを奪われたとはいえ、そこまで行ったのはすばらしい。

 ユナイテッドがイングランドのクラブで最高の収入をあげているのは確かだが、だからといって金を存分に使っているわけではない。倹約家で知られるオーナーのグレイザー家が金の使い方に口をはさみはじめる前から、ファーガソンは決して浪費家ではなかった。2009~10シーズンにユナイテッドは、収入の46%しか選手年俸に使っていない(リーグ平均は68%だった)。ファーガソンはグレイザー家に大変な貢献をしている。彼が有能だからこそ、グレイザー家は倹約しながらタイトルを手にできる。

 今シーズンについていえば、昨シーズン終了後に引退を表明した37歳のポール・スコールズを現役復帰させたのは、ファーガソンのとんでもないひらめきだった。裕福なクラブの監督でそんな賭けに出る人物はほかにいないだろう。

 選手のモチベーションを高めるファーガソンの力は、大きな結果につながっている。しかしユナイテッドでは、とくにモチベーションを高めなくてもすばらしいプレイができる選手が多いことを考えれば、最も重要なのは才能を見つけるファーガソンの目だ。アシュリー・ヤングやダビド・デ・ヘア、フィル・ジョーンズ、ダニエル・ウェルベックは、ファーガソンがトップチームに定着させる前には、誰もここまでの選手たちだと思っていなかった。

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