2012.02.11

【イングランド】フェルナンド・トーレスに何が起きているのか

  • マーク・バーク●文 text by Mark Burke森田浩之●訳 translation by Morita Hiroyuki
  • photo by Getty Images

マンチェスター・ユナイテッド戦に先発フル出場したトーレスだが、ゴールはならなかった リバプールからチェルシーに移籍して1年。フェルナンド・トーレスの調子が上がらない。今季はここまでリーグ戦19試合に出場、わずか2ゴールに止まっている。彼の身に何が起きているのか。かつて大宮アルディージャなどでプレイ経験のあるライターが描く――

 先日チェルシーの試合を見ていたら、FWのフェルナンド・トーレスがどうにもよくない。しばらく見ていると、彼がプレイに自信をなくし、ゲームを楽しめていないことがわかって、私は同情してしまった。
 
 同情? まさか! 若くして億万長者になり、あらゆる人々の夢を実現したフットボール選手に、いったい誰が同情などするだろう? でも私は、ついしてしまうのだ。思いがけないケガを別にすれば、プレイに自信をなくすことは選手に降りかかる最悪の状況だ。

 いうまでもなくトーレスはワールドクラスの選手だが、そんな彼でも自信の有無はプレイに大きく影響する。チョウの羽に少しでも触れたら、細かい粉が落ちて、チョウは飛べなくなる。フットボール選手の「羽」は自信だ。そこが傷ついたら、選手は飛べなくなる。

 この自然界に、チョウの羽ほどデリケートなものはそう多くはない。それでもフットボール選手の自信に比べれば、チョウの羽は鋼鉄くらい頑丈に思える。