【Jリーグ】ジーコはいつも全身でゴールの歓喜を表現した 「全力でプレーしなければ、サッカーに対しても礼を欠くことになってしまう」 (3ページ目)
【サッカーに対して礼を欠くことになる】
インタビューと撮影の合間には、通訳を介して雑談をさせてもらった。彼はいつも時間の許すかぎり質問に答えてくれて、自分から席を立つことはまずない。2004年2月の宮崎もそうだった。住友金属で見せた全力プレーについて聞くと、ジーコは少し不思議そうな表情を浮かべた。
「私たちはこれからワールドカップ・アジア1次予選を戦うが、誰もが日本は簡単に勝つ、グループ首位で最終予選へ進出する、と思っているに違いない。日本の力については、私も自信を持っている。ただ、サッカーでは何だって起こり得る。一瞬の油断が失点につながることを、私は現役時代を通じて何度も経験してきた」
それに、と言ってジーコは続ける。
「目の前の試合に全力で挑んで、こちらの力を相手に見せつけて5-0や6-0で勝てば、相手は『日本は手ごわい、次も難しい試合になるだろう』と思う。そうやって思わせることで、我々は精神的に優位に立つことができるのだよ」
話が逸れてしまったね、とジーコは言った。逸れた先にも興味は湧いたが、住友金属での話を聞きたかった。
「どんな試合だって、全力でプレーするのは当たり前だ。そうじゃないと、自分たちのチームを応援してくれている人たちにも、対戦相手にも失礼だ。全力でプレーしなければ、サッカーに対しても礼を欠くことになってしまうよ」
母国ブラジルのフラメンゴで、セリエAのウディネーゼで、ブラジル代表で、そして鹿島アントラーズで、ジーコは勝利を求められてきた。自分たちのチームが負けることを決して許容しない環境で、戦い続けてきたと言ってもいいだろう。
「それがつらかったわけではないんだ。チームメイトやスタッフ、サポーターと一緒に勝利の喜びを味わいたいから、僕はいつだって全力でプレーしてきた。それは、相手チームや審判のためでもある。レベルの高い試合を、一緒に作り上げることができるわけだからね。
さらに言えば、グラウンドを整備してくれる人、スタジアムの周りで交通整理をしてくれる人、スタジアムの売店で食べ物や飲み物を売ってくれる人、試合を伝えてくれるメディアのみなさん......たくさんの人たちが関わって、選手は、監督はピッチに立つことができる。そうやって考えたら、ちょっとでも手を抜くなんてできるはずがないさ」
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