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【Jリーグ】フェルナンド・トーレス34歳の挑戦 全盛期のレベルとは違ってもゴールのクオリティは高かった (3ページ目)

  • 戸塚 啓●取材・文 text by Kei Totsuka

【SNSで現役引退を電撃発表】

 リーグ戦デビューは7月22日だった。来日から1週間ほどで、ピッチに立ったことになる。初ゴールは8月26日のガンバ大阪戦で、右サイドからのクロスをヘディングで流し込んだ。

 加入1年目の2018年シーズンは、17試合に出場して3つのゴールを決めた。鳥栖のファン・サポーターはもっと多くのゴールを見たかっただろう。ただ、そのゴールシーンにはいずれもクオリティの高さが詰まっていた。

 ベガルタ仙台とのアウェーゲームでは、左サイドからのクロスにニアサイドで反応する。クッと頭を振り、ゴール右上スミへ流し込んでいる。GKはノーチャンスだった。

 横浜F・マリノス戦で決めた一撃は、ペナルティアーク内でシュート態勢を整え、コンパクトかつ素早い足の振りでゴール右へ強烈な一撃を突き刺した。このゴールが決勝点となり、チームはJ1残留を果たしたのだった。

 翌2019年シーズンは、スペイン人のルイス・カレーラス監督のもとでスタメンに名を連ねていった。しかし、指揮官の解任をきっかけに、ベンチスタートやメンバー外が増えていく。6月21日、SNSで現役引退を電撃発表した。

 スパイクを脱ぐ決断について、トーレスは「自分のベストのレベルに到達できていない」ことを理由に挙げた。「次のシーズンまでオプションで契約があった」ものの、「自分がベストのコンディションでやり続ける、そこに到達できないであれば、サッカー人生を終えたいと思い決断した」と説明をした。

 高くてしなやかで、スピーディーかつ繊細で、パワフルで技巧的でもあったピーク時に比べると、鳥栖でのトーレスはできることが少なくなっていた。ただ、白星より負け数のほうが多いチームでは、シュートチャンスが限られたのも事実である。

 彼が足を振れる場面が、空中戦を競る場面がもう少し多ければ、もっと多くのゴールを決めることはできただろう。ゴール前でチャンスをかぎ分ける嗅覚と、ワンチャンスをモノにする決定力は、まだまだ衰えていなかったからだ。

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