【大学駅伝】駒澤大・藤田敦史監督が覚悟を持って臨む新シーズン 「別格」の強さを見せる桑田駿介と頼もしい新入生たち
今年の箱根駅伝2区、3月のNYシティハーフと好走を続ける駒大・桑田駿介 photo by SportsPressJP/AFLO
後編:駒澤大が迎える2026年度シーズン
学生長距離界で再び高みを目指す駒澤大は、主力の足並みが揃わない状況で2026年度シーズンのスタートを切った。藤田敦史監督は現状に危機感を募らせながらも、海外のハーフでエースらしい走りを見せた3年生エース、そして頼もしい新入生たちの成長に手応えを感じている。
自身が勧誘した選手が全学年に揃って臨む初めてのシーズン、藤田監督はどのような采配を見せるのか。
前編〉〉〉「藤田敦史監督が語る現在地 明るい材料と主力の足並みが揃わぬ危機感の狭間で」
【「別格」クラスの存在感を放つ桑田駿介】
ポジティブな側面に目を向ければ、やはり桑田駿介(3年)の成長が大きい。
今年の箱根駅伝で急遽エース区間の2区をまかされた桑田は1時間06分19秒の好記録で区間8位と踏ん張り、田澤廉(現・トヨタ自動車)が持つ2区の駒澤大記録にもあと6秒と肉薄した。
藤田監督もこう話す。
「やっぱり自信になったと思います。自信がついてきたから、いろんなことに臆せずに向かっていくことができている」
そして、3月のニューヨークシティ・ハーフマラソンでは起伏のあるコースで6位までが59分台という高速レースを経験。59分台には届かなかったものの、パリ五輪10000m銅メダリストのグラント・フィッシャーにも先着し、日本歴代6位、日本人学生歴代3位となる1時間00分13秒の好タイムで10位と踏ん張った。
桑田のニューヨークシティハーフの5kmごとの通過タイムは以下のとおりだった。
5km13分58秒
10km27分57秒(13分59秒)
15km42分24秒(14分27秒)
20km57分03秒(14分39秒)
後半はさすがにペースダウンしたものの、10kmの通過タイムは桑田の10000mの自己記録(28分12秒02)よりも速かった。
「桑田本人も『最後は置いていかれましたけど、揺さぶりに対応できるようになったので、だいぶ自信になりました』と話していました。10km通過も27分台だったので、『トラックでも27分台を出せるイメージが湧いてきた』って言っていました。これからトラックが楽しみです」
ハーフマラソンの日本歴代上位記録は、コースが平坦で高速レースで知られる香川丸亀国際ハーフマラソンで出されたものが多い。男子の上位5位までは同大会の記録が占めている。そこに割って入って歴代6位にランクインしたのだから、その価値はいっそう大きい。
「桑田は強いですよ。ニューヨークシティハーフは、昔は下りのコースだったのが、今は上りのコースに変わりました。それであのタイムですからね。まして、ペースの上げ下げが大きく、揺さぶりがある中でのレースですから」と藤田監督も高く評価している。
昨季の桑田は出雲駅伝で3区9位と振るわず、全日本大学駅伝は出場することもできなかった。そんなどん底から這い上がり、箱根駅伝、ニューヨークシティハーフと快走を連発。苦しい時期がありながらも、順当に成長を見せ、大八木弘明総監督が率いるプロジェクトGgoat(ジーゴート)にも、練習生から昇格し今季から正式に加入した。
「桑田はもう別格みたいな感覚がある」と藤田監督が言うように、チーム内でも突出した存在になりつつあるが、桑田の背中を追いかける選手が出てくれば、チームはなおのこと活性化するはずだ。
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著者プロフィール
和田悟志 (わだ・さとし)
1980年生まれ、福島県出身。大学在学中から箱根駅伝のテレビ中継に選手情報というポジションで携わる。その後、出版社勤務を経てフリーランスに。陸上競技やDoスポーツとしてのランニングを中心に取材・執筆をしている。

