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【Jリーグ】フロンターレの華麗なパスワークは「川崎の太陽」ジュニーニョの存在なしに生まれなかった (2ページ目)

  • 戸塚 啓●取材・文 text by Totsuka Kei

【ジュニーニョがいる波及効果】

 ジュニーニョはJ2得点王に輝き、フロンターレはJ2優勝を果たし、J1昇格を果たした。助っ人外国人として、期待どおりの働きを見せたことになる。

 J1のステージに上がっても、ジュニーニョは結果を出し続けた。2005年から2010年まで、6シーズン連続でふたケタ得点をマークしている。チームはJ1に定着し、リーグ優勝を争う強豪となっていく。

 ここで彼は、助っ人外国人が担うべきもう「ひとつの役割」を果たした。チーム全体の底上げである。

 チームメイトには「早いタイミングでパスを出してくれるように要求した」と言う。彼のスピードを最大限に引き出すためにフロンターレのMF陣は、ある時はワンタッチで、ある時は2タッチで、ジュニーニョへ決定的なラストパスを供給しようとした。DFラインの背後だけでなく、足もとへつなぐ場面もあっただろう。守備側に的を絞らせないために、コンビネーションでの崩しも練っていく必要があった。

 そうした作業の積み重ねが、パスの出し手のプレーの引き出しを増やす。プレーの選択の幅が広がっていった。チームの攻撃のバリエーションも豊富になっていった。

 フロンターレと対戦する相手は、ジュニーニョを厳重に警戒してくる。彼にボールを入れさせないようにして、入れられてしまったらすぐに潰そうとしてくる。ひとりでは止めきれないから、ダブルチームで対応してくるチームもあった。

 言い方を変えれば、ジュニーニョの周囲にいる選手たちは、いつもより時間と空間を得る可能性が高い。それがほんの数秒でも、ほんの数10cmでも、アタッキングサードなら決定的な違いが生まれる。

 ジュニーニョをダミーに使ったりもしながら2列目や3列目からゴール前へ飛び出し、得点を決めることができれば、その選手は「次の試合でも」と考えるものだ。成功体験が自信をたくましくさせ、やがて「自分はできる」との確信へと変わっていく。フロンターレがリーグ屈指の得点力を誇るようになったのは、ジュニーニョがいる波及効果としてチーム全体が「個」を磨いていったから、と考えられる。

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