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エムバペの覚醒を間近で見たジェルマンがモナコでのあのシーズンを振り返る「かけがえのないもの」 (3ページ目)

  • 井川洋一●取材・文 text by Yoichi Igawa

【「エムバペの一番の強みは......」】

 確かに翌節に、エムバペはキャリア初のハットトリックを達成し、その後のチャンピオンズリーグでの爆発につなげている。とてつもないスピードに決定力が備わり始めたのが、その頃だ。18歳とは思えないほどの堂々たるパフォーマンスは、今でもはっきりと思い出せる。

 キリアン・エムバペの覚醒のきっかけは、何だったのだろうか──。間近で伝説の始まりを見ていたジェルマンになら、それもわかるかもしれない。

「直接的なものは私にもわからないが、エムバペの一番の強みは、自信にあると思う。18歳の頃から、まったく臆するようなところはなかったし、一度でもゴールを奪ったり、良いプレーができたりすると、さらに動きが鋭くなっていった。あんなに物おじしない10代の選手は、見たことがない。彼の父親は良いコーチのようで、その影響もあるかもしれないね。2度と現れることのない怪物のような選手と同じ目標を持って戦えたあのシーズンは、自分にとってかけがえのないものだよ」

 そして現所属先にも、先々が楽しみな選手は少なからずいると、ジェルマンは続ける。

(つづく)

後編 >> ジダンに憧れたジェルマンがストライカーとして活躍できた理由を語る 期待するサンフレッチェ広島の若手3人とは?

ヴァレール・ジェルマン Valère Germaim
1990年4月17日生まれ、フランス・マルセイユ出身。元フランス代表のブルーノ・ジェルマンを父に持ち、モナコの下部組織からファーストチームに昇格した。2016-17シーズンには当時10代のキリアン・エムバペらと共にリーグアンを制し、チャンピオンズリーグのベスト4に進出。その後、マルセイユ、モンペリエ、マカーサーFC(オーストラリア)を経て、今年2月にサンフレッチェ広島に加入した。

著者プロフィール

  • 井川洋一

    井川洋一 (いがわ・よういち)

    スポーツライター、編集者、翻訳者、コーディネーター。学生時代にニューヨークで写真を学び、現地の情報誌でキャリアを歩み始める。帰国後、『サッカーダイジェスト』で記者兼編集者を務める間に英『PA Sport』通信から誘われ、香港へ転職。『UEFA.com日本語版』の編集責任者を7年間務めた。欧州や南米、アフリカなど世界中に幅広いネットワークを持ち、現在は様々なメディアに寄稿する。1978年、福岡県生まれ。

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