【Jリーグ】FC町田ゼルビアに何が起きた? 前半戦の不振を乗り越え、5連勝中。今季も優勝戦線へ (3ページ目)
【後半に足が止まっていた】
連敗のなかで、町田らしくない失点で顕著だったのが、湘南ベルマーレ戦(第12節)、京都戦(第15節)の後半アディショナルタイムでの失点である。
「(アディショナルタイムの失点は)昨年は年間を通じてゼロだった。その時間における集中力や、やるべきことを最後まで徹底することの甘さ、緩さがある」
最後までやるべきことを徹底し、隙を見せないことが町田の強みのはずが、今季は遂行しきれていなかった。GK谷晃生はこの時期のチームの精神状態をこう説明する。
「気持ちは伝染するので。気持ちがネガティブになるとプレーにも表れて、それがチームにも伝染していく。それはあからさまに流れのよくないチームにありがちな状態。そういった雰囲気が試合を通して漂ってしまっている部分もある」
その精神状態が、ミスを引き起こしてしまう悪循環を呼ぶ一因にもなっていた。また、京都の曺貴裁監督は、試合後の会見で対町田のプランの一部を明かした。
「後半、相手の足が止まった時に、一気に交代選手を使うプランもうまくいった」
川崎戦やC大阪戦も後半に失点しており、後半に足が止まると分析されるのも当然だった。その原因のひとつに、ケガ人の影響があったことは間違いない。
菊池が開幕戦で負傷し、前期をほぼ欠場。それにより4月、5月の過密日程のなかで、3バックはドレシェヴィッチ、岡村、昌子源の3人で乗りきるしかなかった。開幕から出ずっぱりの3人の疲労は深刻で、強度は落ち、ミスも散見された。
また、浦和戦で西村が負傷離脱。西村の復帰と入れ替わるように、こんどは相馬勇紀が鹿島戦で負傷した。得点源であるふたりが思うように揃わず、連敗が続いた6試合はたった3点しか取れなかった。
「去年よりもやれることは増え、チャンスも増えているけど、仕留める回数が減っている」
決定機をことごとく外す攻撃陣について、黒田監督はそう嘆いた。それでもやっていることの大枠は間違っていないと一貫してブレなかった。
「やることはみんなわかっているので、それをどのレベルで、どれだけ継続してやってくれるか。それに尽きる」
後期までの中断期間で、攻守に徹底してやりきれる本来の町田に整えることができるか。黒田監督の手腕が試されていた。
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